「契約は守られなければならない」世の中の契約は、基本的には守られることを想定して締結されているでしょう。しかし、ハイパーインフレが起きたときなど、当初の予定どおり当事者に契約を履行させることが不当なときがあります。私自身は、そのような問題の1つと言えるものについて、これまで研究をしてきました。
その典型例はクレジット取引です。宝飾品を購入したいけれどもお金がない。そんな人でも、クレジット業者と立替払契約を締結し、代金を立て替えてもらうことで、宝飾品を手に入れることができます。そして、その人は、一定の期間にわたり、クレジット業者に分割でお金を払っていくことになります。購入者は欲しい物を手に入れ、クレジット業者は分割払いに関する手数料を取得し、宝飾品販売業者は商品を販売できる。それだけみれば合理的な仕組みです。
しかし、引き渡された宝飾品が偽物であったとすればどうでしょうか。もう信用できないと思った購入者としては、販売業者との売買契約を解消したいと考え、さらには、クレジット業者への分割払いもやめたいと考えるでしょう。ただ、その要求が法的にも当然に正当化されるかと言うと、そうとはかぎりません。売買契約と立替払契約とは別の契約であり、前者が解消されたからと言って当然に後者も解消されるわけではないからです。どうすれば後者の解消を法的に正当化できるのか。それが私の研究テーマの一端です。
どういうときには契約を守らなくても良いのか。法律や契約を解釈し、当事者に適用される規範を明らかにして、その問いに一定の回答を示す。このほかにも、法解釈学という学問には、解釈が人の社会生活を左右しうる問題がいくつもあります。小さなようで大きなこの学問的思考を、大学という場で体験する。それは、皆さんの社会生活の糧になるかもしれません。むろん、この文章をどう読むかも、読み手の皆さん次第ではありますが。
「契約は守られなければならない」世の中の契約は、基本的には守られることを想定して締結されているでしょう。しかし、ハイパーインフレが起きたときなど、当初の予定どおり当事者に契約を履行させることが不当なときがあります。私自身は、そのような問題の1つと言えるものについて、これまで研究をしてきました。
その典型例はクレジット取引です。宝飾品を購入したいけれどもお金がない。そんな人でも、クレジット業者と立替払契約を締結し、代金を立て替えてもらうことで、宝飾品を手に入れることができます。そして、その人は、一定の期間にわたり、クレジット業者に分割でお金を払っていくことになります。購入者は欲しい物を手に入れ、クレジット業者は分割払いに関する手数料を取得し、宝飾品販売業者は商品を販売できる。それだけみれば合理的な仕組みです。
しかし、引き渡された宝飾品が偽物であったとすればどうでしょうか。もう信用できないと思った購入者としては、販売業者との売買契約を解消したいと考え、さらには、クレジット業者への分割払いもやめたいと考えるでしょう。ただ、その要求が法的にも当然に正当化されるかと言うと、そうとはかぎりません。売買契約と立替払契約とは別の契約であり、前者が解消されたからと言って当然に後者も解消されるわけではないからです。どうすれば後者の解消を法的に正当化できるのか。それが私の研究テーマの一端です。
どういうときには契約を守らなくても良いのか。法律や契約を解釈し、当事者に適用される規範を明らかにして、その問いに一定の回答を示す。このほかにも、法解釈学という学問には、解釈が人の社会生活を左右しうる問題がいくつもあります。小さなようで大きなこの学問的思考を、大学という場で体験する。それは、皆さんの社会生活の糧になるかもしれません。むろん、この文章をどう読むかも、読み手の皆さん次第ではありますが。